—今回の現場はどのような案件だったのでしょうか?
独自の飲食スタイルを進めている店舗のサイン及びネオンLEDの製作、施工を行いました。数社の看板会社が分業する現場となり、かなりの数の看板装飾がほどこされた内外装となりました。
—ネオンLEDというものはどういった内容だったのですか?
今回のネオンLEDはサインというよりも店内照明に近い形状でした。
製作・施工するにあたり横幅が広かったため原寸原稿を製作し、出来るだけイメージに近い形になるように努めました。現場合わせによる位置出しがこれによってスムーズに進めることが出来ました。
原寸原稿の位置が決まった後は、ネオンLEDが設置しやすいように専用の受けレールを取り付けていく作業に移ります。今回はボーダー状に設置していくデザインでしたが文字やロゴなどの形状にすることも可能です。
ボーダーは扇状に配列される意匠のため、設置面への位置出しを正確に行い、ネオンLEDを取り付けます。
2色に分けて扇状にしてほしいという御客様の要望があり、原寸原稿に間違わないよう色付けして進めました。写真にある黒い点々は直接壁面に印をつけたヵ所になります。斜めの角度が重要なので位置を取りやすいようにしています。
専用レールを設置する際、原寸原稿は必要なくなってきますので位置を間違えないように確認しながらレールを取り付け原稿を剥がしていきました。いいかげんには出来ない作業なので慎重に取り付けていきます。斜めのバランスが崩れると見た目がかっこ悪くなってしまいます。また印の見やすさを重視してしまうと最終仕上の際に見えてしまう可能性もあるのでギリギリの感覚で付けました。
建物躯体の梁部分に扇状にネオンLEDを設置し無機質な空間を鮮やかに演出しました。デザイナーさんの考えに近づけられて安堵しましたが、配線作業が複雑で何度か配線し直した結果、無事に点灯までこぎつけ良い経験となりました。
—アクリルBOXサインはどのような看板だったんですか?
アクリル板を接着して箱型にした看板になります。立体感が出るため視界の中に入りやすく、BOX内には電色のLED照明を組み込むことで、さらに視認性があがり、温かみのある看板になりました。
入口や店内数カ所に設置することで案内表示としての役割を果たしています。
厚みがでてしまった分、通路幅を狭くしてしまう場所がでましたが、大工さんが壁内部を加工して頂きアクリルBOXの厚み15センチを壁から2センチも出ないくらいに納めた看板になりました。
行灯ボックスになっているのでBOXの厚みを薄くしすぎてしまうと光源がでてきてしまいます。限られた方法のなかから壁面内に埋め込む方法を今回は採用されました。壁内部の懐が狭かったら出来なかった方法です。
—今回のお仕事で大変だった作業はありましたか?
まずは外部、内部ともに看板の量が多かったことがあげられます。そのためどこをどの看板会社が行うのか事前打合せに時間をしかっりとり、限られた納期の中で納品まで進めることが大変でした。
作業内容に神経の使うところもあったので、段取り良く進めるために事前の工程を前倒しで組み、製作・施工を行いました。現場でイレギュラーが発生してもマンパワーでなんとか乗り切ったというところもありました。
ネオンLEDは調光タイプを使用したので通常よりも配線の数が多く、2色分けしなくてはならなかったので倍以上の時間がかかってしまいました。じつのところ配線作業を2度行っており、最初の作業時に配線を間違い、2色1個飛ばしが同色並びになる個所をつくってしまい、頭ではわかっていても作業中の行動が不確かということを痛感させられました。
—ネオン管サインがあるなかで、ネオンLEDの看板は増えてきていますか?
そうですね。
私が感じる中では半々という気がします。ネオン管独自の味わいはネオンLEDにはありませがLED独自の寿命性や光源の強さなど複合的にみて看板に採用されている部分があるからです。
ネオン看板はなくならないと思っています。アーティストさんがネオン管を使用し作品として残していることもあります。昔ながらの技術が無ければネオン管の発光は出来ませんし、曲げることも技術が必要です。独特の配線でむき出しになっても味が出るネオンサインは高価ながら希望される方が後を絶たないのもわかります。
そこにもう一つの選択肢としてネオンLEDがこれからの看板であると感じます。まだまだ新商品の開発を各メーカーさんが進めています。私もより良いものを選択出来るようアンテナをはって表現力のあるネオンLEDを使っていけるように努力していかなければならないと日々考えさせられます。